canno-shiのすこしみらいを考える

現在と過去を通じて少しだけ未来を考えるためのブログです。予測ではないですが、ありたい未来を考えていく気持ちです。

ティール組織(進化型組織)の最終段階を考える【前編】

昨今話題のティール組織。
一言で言えば「世の中のルールが変わったことに順応した組織形態」のことだと言えるでしょう。
絶対王政から市民社会になって社会のルールががらりと変わったように、時代が下るに従ってその時々の時代を覆っているルールも変わります。

 

さて、ティール(進化型)を考えるにあたり、書籍『ティール組織』ではその手がかりとして「インテグラル」という考え方や「スパイラルダイナミクス」という理論を用意しています。
ざっと見ただけでも非常に「スピリチュアル」な印象がありますが、スピリチュアルという言葉を「現代の科学では法則性が解明できないもの」ぐらいに捉えて、少し我慢して見てみましょう。

 

例えば、スパイラルダイナミクスについてはインテグラル・ジャパンというサイトでかなり詳細に説明されています。

スパイラルダイナミクス 限りなく上昇する探求

 

これを読むと、ティール組織(黄色の段階:自分らしさを高めそれを表現する責任を持ち生きる基本概念)は全8段階の7番目にあたり、6番目である緑(平等や他者への気遣いが基本概念)までとは層(ステージ)が異なることが分かります。

 

これがティールを捉え難くしている要因で、これまで第一層(どうやって生き残るべきか?)を考えていた人が第二層(いかに存在するべきか?)の考えをそのまま受け取ることは、とても困難です。
なぜそう言い切れるかというと、人間は自分の思考や言葉の枠組みの中で物事を考える(例:虹の色は7色である)ので、それとは違う枠組み(例:虹の色は8色でもあり6色でもあり3色でもある)を示されても現実の捉え方が変わるわけではなく、考え方も変わりようがないからです。

 

さて、本日考えたいのは第二層を上ることで、つまり8段階目(ターコイズの段階)が世の中のルールになったとき、組織はどうなるか?という問いです。
インテグラル・ジャパンのサイトから、ターコイズの特徴を引いてみます。

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ターコイズ・全体性(ホリスティック)のミーム ― 30年前より出現
基本概念:知性(マインド)と霊性(スピリット)を通して存在の全体性を経験する。

  • 世界は、われわれの集合知性と共に一つの動的な組織体である。
  • 自己(セルフ)は、独立した「個」であると同時に、慈愛に満ちた大きな「全体」にとけあった「一部」でもある。
  • 全てのものが、全てのものに生態的に正しくつながっている。
  • エネルギーと知識が、地球上の全体的環境の中に行き渡っている。
  • 全体的・直観的な思考と協力的な活動とが期待される。

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これを読んで「うんうん、そうだよね」と言える人は、それほど多くないのではと思います。もちろん私も、そこまで深く理解できているわけではありません。
ただ「一部であり全体である」とか「すべてのものは繋がっている」という言葉自体は、日本人の感覚としてそこまで否定的なものではないと思います。

 

さて。先ほど見た通り、これは第二層の話。
つまり「いかに存在するべきか?」を前提とする話です。
そう考えると、イエローまでの7段階で取り組んできた「個としていかに全体に関わるか」という課題から「全体をいかに個と結びつけるか」という逆の方向性の課題が生じていることが分かります。

 

そもそも全体と個は不可分(ということになっている)のですが、「自分は個別の存在として生きている」という思考の枠組みで生きている限り「自分という存在をいかに全体(環境や社会や組織や他者)に関わらせるか」という問いしか生まれないことになります。
それは自と他を相対化する方向を強化する働きを持つものです。

 

一方で、「全体をいかに個と結びつけるか」という発想は「まず自分を含む全体があり、その中に自分という個がある」という前提から考えます。
そのため「全体」が自分の近いところから広がっていくのではなく、「地球(ないしは宇宙)」というスケールから徐々に自分に近づいてくることになります。
つまり「自分の在り方」に関する捉え方の出発点が「自分(=特定の空間を占める存在)」か「全体(=地球規模の空間そのもの)」かという点で、とてつもない違いが生じているのです。

 

これでやっと本題に入れるのですが、では、そうした「全体から自分を捉えることが基本概念になった世界」で組織はどうなるのか?
国家や国際組織、営利組織、非営利組織、教育機関などなど、今の社会には様々な組織がありますが、それらは一体どんなものになるのか?

 

前段がかなり長くなってしまいましたので、次回、後編で色々な可能性を検討してみたいと思います。
人工知能によって仕事が奪われようがそうでなかろうが、社会的な動物である人間は組織を作らずには生きられません。
今は「資本主義と労働」が組織や社会を作る手段として適しているので組織=仕事のような見え方になっていますが、今後もそうであり続ける保証はありません。

 

そんな観点を持ちつつ、スパイラルダイナミクスの8段階における組織について、次回は妄想を膨らませてみたいと思います。