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canno-shiのすこしみらいを考える

現在と過去を通じて少しだけ未来を考えるためのブログです。予測ではないですが、ありたい未来を考えていく気持ちです。

めまぐるしく変わる市場とゆっくりと変化する社会。僕らは、その上に立って生きている。

2017年が始まりました。今年もどうぞ宜しくお願いいたします。
僕が住んでいる埼玉県は年明けから快晴続きで、風は少し肌寒いけれど、心地よい日々が続いています。

そんな中で、すこしみらいを考え続けるのも良いことだなぁと改めて思っています。

 

さて、年末年始にいろいろな方とお会いしたのですが、いわゆる大企業に勤めていた方が農業に転身されたり、フリーになって芸術やエンタメの分野で活躍を広げよう!とされたりする方のお話を色々と伺いました。

世の中的にも、週末起業や副業を薦める書籍や「クロスフィールズ」「二枚目の名刺」といったNPOのような、今いる場所に加えてもっと自分の活躍できる領域を広げよう!という流れが加速しています。あるいは、社内の管理職を廃止して全員が第一線のエンジニアとして顧客に対応し続けるという制度を持つ会社も生まれています。

 

こうした動きの背景には色々な理由があると思いますが、大きな流れとして市場(資本主義)と社会(公共空間)の変化の速さのズレが大きくなっていることが挙げられると考えています。
前者は1年後の業績が上がればよいですが、後者は少なくとも10年、次世代を考えれば30~40年単位で物事を考えなければいけません。

こうした中で、市場での成功(お金を稼ぐ、地位を得る)が社会での成功(安定して生活できる、周囲と良い関係を築く)と一致する時代から、労働者や資本家としての自分と生活者としての自分のバランスが取りづらい時代に変わっています。

 

この話自体はあちらこちらで言われていることですが、50年以上前にも予見していた人がいます。それはシュンペーターという人で「創造的破壊」というイノベーションの原理を提唱した人と言った方が分かりやすいかもしれません。

彼自身、組織が利益を上げ続け、右肩上がりの成長を達成するにはイノベーションが必要であることを述べています。そして、イノベーションには過去の枠組みを破壊し新しい結びつきを作る「創造的破壊」が必要で、それこそが資本主義を推進する原動力であり、それを担うのが企業家(アントレプレナー)だと言っています。

 

しかし、彼は同時に「繰り返される創造的破壊により資本主義が繁栄した結果、現状の社会制度が覆されるために、資本主義自体を崩壊に導く」と語っています。
なぜなら、資本主義は安定した経済により多くの人の生活水準を高める一方で、人間の思考を合理化し成果主義を広めてしまうのですが、それだけでは人間社会は成立しえないからです。

 

こうして資本主義の制度そのものが一般の人々や資本家の「心」に対する支配力を失ってしまい、市場という場自体が人々の関心を失っていきます。
サブプライムローン問題や東日本大震災の衝撃、ピケティが21世紀の資本を出したことやパナマ文書のリークはこれに拍車をかける大きな出来事だったと思います。)

 

実際、ベーシックインカムの議論を見ていると社会保障の文脈もありながら「なぜ稼ぎ続けなければならないのか」「モノがあふれている時代にこれ以上モノを作り出したり購入したりする必要があるのか」といった話も聞こえます。
これは資本主義の流れと逆行する思想ですが、その間にも市場は変化し続けます。その受け皿として、社会の方に関心が行くのは当然の流れと言えるでしょう。

 

ここから2つの大きな問いが生まれます。
それは「市場は人が生活する場としての魅力を取り戻せるか」と「社会の中で個々人はどんな役割を果たせるか」というものです。
その行き先の1つには、市場と生活が一体であった地域経済の復興も考えられるでしょう。実際、平川克美氏の言う小商いのように、比較的小さな生活圏で生きていくことも十分考えられます。

一方で、これまでにない市場や社会の在り方を考え、その中のどこに自分の身体を置くかを考えることも、非常に重要だと思います。世界は確実に開かれる方向に進んでおり、そこに踏み込まなければ出来ない体験や出会いもたくさんあるからです。

 

個人的には、市場の魅力も捨てたものではないと思います。自分の努力によって誰かの役に立ち経済が回っていくというのは、そこまで辿りつければ大きな意義のある経験だと思います。たくさんの人が、市場や組織を良くするために必死に頑張っている姿も知っています。
その上で、個人として生きていく上で自分の足下を見つめ「だから自分はこの場所にいる」と言えることも非常に重要だと考えています。

 

結局のところ、場の問題を考えるには自分のことではなく周囲との関係性に注目しなくてはいけません。自分が今いる場所が市場なのか社会なのか私的な空間なのか。その環境はどう動いていて今後どうなっていくのか。周囲の人とはどのような間柄にあるのか。
まだ年明けと言える今だからこそ、自分が立っているその土台にあるものを、じっくりと見つめてみる。そんな時間が必要なのではないかと思いました。